2026.03.18
ツナグ






「憧れかな」。
藍染めの魅力は何かと聞いたとき古庄先生は、にこやかにそう答えてくれた。
言葉は少ないけれど、長年藍に向き合ってきた重みと深さがある。古庄染工場は、戦後今の場所に移ってきた。豊かな吉野川が、徳島の歴史と藍染めを育んだ。富は地域と人々を潤したが皮肉にも時代の流れは常に変わってゆく。藍染めの天然染料である阿波藍-蒅をつくる藍師は年々減っている。それでも、伝統を継ぐ営みは今も続いている。
藍染め産業は分業が一般的で、古庄染工場でも、徳島産の蒅を使い発酵させて、藍液をつくる。つくり手によって加える材料にもこだわりを持っている。藍液を掻き混ぜると、液表面に「華」と呼ばれるきめ細やかな泡が生まれる。つくり手は、藍液のことを相棒や我が子のように呼ぶ。「既製品がないから、コーナンで材料を買ってきて手づくりしたんよ」発酵建てを終えて、美智子さんが愛用の道具を見せてくれた。こんな重い道具を自在に操りつくった「華」は、美しく怪しげな色を放つ。「藍には全部の色が入っているから(人は)惹きつけられるんよ」と先生は言う。
工場で、美智子さんは先生のことを「社長」と呼ぶ。相談しながら進める製造工程。古庄染工場では、親子分業制だと言う。美智子さんが染め、先生が仕上げる。親子でありながら、職人同士の強い信頼関係があった。
「注染(の技術)を教えなきゃな」指定席に座った先生の視線の先で、ムスメが甕を覗いて、今日の華の様子を確かめていた。技術は、日々の作業のなかで、未来へ繋がれていく。
吉野川に夜の帳がおりる頃、未来を見据えた覚悟で藍と向き合う先生の姿があった。

北本 直子
KITAMOTO Naoko
京都府 出身
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